はりせんぼん


指切った。指切りげんまんをしたわけではない。本当に切った。切断ではない。断じて切断ではない。あはっ。断じて切断ではないだって。断じたんじゃないの?断じたのに断してないの?あはっあはっ。断じてないけれどぱっくりという表現が相応しいほど深々と傷をつけてしまったんです。もちろん痛い。いたい痛い尋常じゃない。これは医者に行った方がいいのか?血が止まらない。ということは傷が開いている。ということは塞がねばならない。縫うのか?え、え?手術?縫うのはもっと痛いでしょ?いたいたいた痛いのは勘弁してください!血が止まらないのはおれが先天性の病気=フォン・ヴィレブランド病にかかっているからでしょうか。この病気って設定といい病名といい狭義の中二病かと思わせるね。そんなことはどうでもいいからだれか血を止めてください。助言をください。こんなときに医者の友達が欲しいけれど生憎そんな友達はいない。だれかー。だれかお医者様いらっしゃいませんかー。はん。医者なんて現れやしないさ。はんっ。そんなことはどうでもいいから助けてください。救急車を呼ぶなんてそんな顰蹙買いたくない。わたしには世間体があるの。だから絶対救急車なんてやめておねがいやめて。でもだれか助けて。あああああ。サンタさん!おれには幸せを運んでくれなかった!今日も明日も明後日もずっとずっとずうーっとひとりぼっち。おれは孤独の淵を彷徨いDONZOKOの極みを見たような気になってやけ酒をしてケーキを馬鹿食いをして。あ!あああ!ああああああああ!ここここっここれやこれや!これや!これが血が止まらない理由で間違いない!血をだばだば流しながらおれはとりあえず寝ることにした。起きる頃には着ている服が真っ赤かもしらんね。あはっ。これでサンタさんになれる!るんるん♪じゃあ今夜は!サンタさんからみんなに!辞世のひとこと!メリークリスマス!完